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戸隠の歴史

戸隠の歴史

芳年画く新形三十六怪撰の一枚
芳年画く新形三十六怪撰の一枚

流された美女 呉羽

 戸隠と、その隣の長野市鬼無里地区には、共通した伝説があり「鬼女紅葉」の物語として伝えられています。
 舞台は、奥州会津と京の都、そして信州信濃を結んで繰り広げられます。

 会津に生まれた美女、呉羽は長じて都へ上り、名を紅葉と変えて為政者の寵愛を受けますが、やがて野心が露見し、都からはるか離れた信濃の山里に流されてしまいます。その様相は鬼女と化し、征伐の命までが出されます。その征伐を命じたのが冷泉天皇、そして征伐の大将が平惟茂と伝えられており、謡曲や歌舞伎でも知られているところです。つまり、物語の時代は平安中期、西暦967~9年頃と実に具体的です。
 その頃の戸隠山は、山岳修験霊場として、まさに最盛期を迎えようとしていた時期であり、罪人の罪科さえ消え去ると信じられるほどの勢いでした。その歴史と、歌枕としての知名度ゆえに、鬼女に転じた絶世の美女の終の棲家として、物語の舞台にこの地が選ばれたのでしょう。
 戸隠と鬼無里の境にそびえる荒倉山。
 鬼女紅葉は今もそこに眠っています。

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