重要伝統的
建造物群保存地区

戸隠中社・宝光社地区
「重要伝統的建造物群保存地区」に選定

中社・宝光社地区が
「重要伝統的建造物群保存地区」
に選定され、
2017年2月23日、
文化庁の告示がなされました。

 この制度は、昭和五十年の文化財保護法の改正によって発足したもので、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存を図ることが目的とされます。
戸隠地区は、標高一〇〇〇m以上の高地に展開し、戸隠神社を中心とした七十七.三ヘクタールに亘る「高距(標高が高いの意)信仰集落」で、宿坊群としては全国で初めての選定となりました。
選定に向けて長野市と地区内の住民で構成された「まちづくり協議会」が中心となり、様々な研修会、まちづくりの先進事例の視察等を重ね、地区の伝統的建築物の保存に向けての住民の同意のもと申請がなされました。
キリスト教の修道院や比叡山、高野山のように宗教者たちが、世間と隔絶された施設を中心に修行を行うということがイメージされることと思いますが、戸隠は、山岳修験道の聖地としての一面のほか宗教者以外の生活の場としての集落からなり、全国的に見ても稀有な存在であると言えます。
歴史的には、古くからの戸隠信仰のもと、近世以降、信州を中心として各地に形成された戸隠講の参詣者のための宿坊が発展し、国内有数の宗教施設である善光寺へ戸隠道で結ばれ、戸隠・善光寺両りょう詣もうでの信者も増加するなど宿坊の大規模化が進みました。
ここでは、江戸時代(戸隠が顕光寺という寺院だった時代)以来の地割が保たれ、門前町の中心をなす神社、旧別当家(寺務を統括する長官)・宿坊が、石垣、生垣、そして在家と呼ばれる農家、職人等の住宅等と一体となって歴史的風致を形成し、我が国にとって価値が高いものとして評価されています。
具体的には、中社と宝光社の境内及び宿坊群を中心とする門前町と、両社を繋ぐ道( 神か ん道みち)などをその範囲とし、共に仁王門跡の内側の参道沿いに宿坊群が、仁王門跡の外側から宿坊群の周縁に在家の住宅が景観をなします。それぞれの住宅は、元は茅葺、平入を基本とし、雪対策として軒を深くとり(せがい造り)、床を高く張る形式を残しており、宿坊は客殿部と庫裏部からなり、その多くは客殿部正面に向こう拝はいを設け、神前の間までは現在も戸隠講の参詣者の為の祈祷が行われています。庭園では高地の特色でもある様々な高山植物の姿を目にすることができます。
宝光社地区は、終戦直後と昭和四十五年の二度にわたる大火により、多くの宿坊、在家が被災しましたが、江戸以来の地割を維持したまま復興されました。
重伝建地区指定を受け、歴史的に価値のある街並みを伝承すべく、地域住民が一体となった魅力ある街並みづくりが期待され、訪れる人々がリラックスでき、安らぎを感じていただけるよう、茅かや葺ぶき屋根の補修や電柱の地中化、看板の規格化、イラストマップの作製等の事業が計画されております。
戸隠講々員と崇敬者の皆様の熱心な信仰のもと、永らく受け継がれてきた文化、街並み、自然が調和し、地域の住民が誇りをもって皆様をお迎えできるよう、この度の指定が大きな契機となることと確信いたします。

戸隠神社では、境内地建物及び参道の整備、宝物館での文化財の公開などに積極的に取り組み、皆様のご登拝をお待ちしております。

  • 中社鳥居前と横大門通りの街並み
  • 宝光社社殿 当神社内で唯一の江戸期の造り
  • 宝光社地区と戸隠連峰